先生が歯科医師を目指したきっかけを教えてください。
もともとは医学部を目指していました。
その前には法文学部にいた時期もあったからこそ、心理学や心療内科の分野にも興味を持っていた時期がありました。
かなり勉強もしていたんですが、最終的に歯学部に進むことになって。
かなり遠回りをした方だと思います。
歯学部に入り直したのが31歳で、卒業したのが37歳です。
周りの同級生よりもずいぶん年上でしたが、それでもこの仕事は面白いと思えましたし、今となってはこの道に進んで本当によかったと思っています。
心理学的な思考・人の心への関心・さまざまな経験が重なって、今の「リスクを分析して根本から改善する」という診療スタイルにつながっていると感じています。
遠回りに見えた経験も、無駄なものは一つもなかったと思っています。


INTERVIEW 02
先生が歯科医師として一番大切にしていることを教えてください。
「健康寿命を延ばす」ということが、私の診療の根幹にあります。
歯科医院というと、「痛くなったら行くところ」というイメージをお持ちの方がまだ多いかもしれません。
でも本来、歯科が一番力を発揮できるのは、問題が起きる前の段階だと思っています。
なぜむし歯になるのか、なぜ歯周病が進むのか。
その原因を一緒に見つけ、日常の生活習慣から変えていくことが、歯を守り続けることにつながります。
来院時にきれいにするだけでは、根本的な解決にはならないんですよね。
だから当院では、食事の習慣・ブラッシングの状況・唾液の状態など、生活習慣まで踏み込んだリスク管理を大切にしています。
患者様の年齢層を教えてください。
0歳から、人生の最期の月まで、全年齢に対応しています。
妊娠中のお母様への口腔ケアの指導から始まり、生まれたばかりの赤ちゃんの食育・口腔機能の育成、お子様の小児矯正、成人の予防・矯正・インプラント、高齢の方の口腔機能管理・訪問歯科診療まで。一つの医院で、家族みんなが長く通い続けられる場所でありたいと思っています。


予防歯科に力を入れているとのことですが、具体的にどのような取り組みをされていますか?
まず、毎回の来院時に位相差顕微鏡でお口の中の細菌の状態を確認しています。
実際に画面でご自身の細菌を見ていただくことで、「自分のお口の現状」をリアルに把握していただける。
「前回より細菌が減った」という変化を目で確認することが、日々のセルフケアへのモチベーションにつながるんです。
それから、食事の回数・間食の頻度・ブラッシングの習慣などをアンケートで確認して、むし歯や歯周病のリスクをスコア化しています。
「来院時にきれいにして終わり」ではなく、日常生活の改善点も一緒に考えることが、本当の意味での予防だと思っています。
お子様の診療について、特に力を入れていることはありますか?
歯並びの治療だけでなく、顎の発育・呼吸・睡眠・食育まで含めて、お子様の成長全体に関わることを大切にしています。
歯並びが悪くなる原因の多くは、実は日常のクセや習慣にあります。
口呼吸・舌の位置・食べ方のクセなどが、顎の発育を妨げ、歯並びに影響するんですね。
だから装置を使って歯を動かすだけでなく、その根本的な原因にアプローチすることを重視しています。
また、顎がしっかり発育することは、気道の広さにも関係します。
気道が狭いと睡眠中の呼吸が浅くなり、成長ホルモンの分泌にも影響することがある。
「歯並びの問題」と思っていたことが、実はお子様の全身の成長と深くつながっているんです。
そういった部分まで視野に入れて診療することが、当院の小児歯科の特徴だと思っています。

高齢の患者様に対してはどのようなアプローチをされていますか?
口腔機能低下症の検査・管理に早くから取り組んでいます。
加齢とともに、噛む力・飲み込む力・舌の動きなどが低下していきます。
こうした機能の低下を放置すると、食事の質が落ちて栄養状態が悪くなったり、誤嚥性肺炎のリスクが高まったりする。認知機能の衰えとも関係することがわかっています。
当院では月50件以上の口腔機能の検査を実施しており、基準に該当する方には機能訓練の方に移行しています。高齢になってからも口腔の機能をしっかり維持することが、健康寿命を延ばすことに直結すると考えています。

患者様へのメッセージをお願いします。
「歯医者は痛くなったら行くところ」という考え方を、ぜひ変えていただきたいと思っています。
むし歯も歯周病も、早い段階で対処するほど、歯への負担は小さくなります。
そして何より、問題が起きる前に防ぐことが、歯を長く守るための一番の近道です。
当院では、治療だけでなく、患者様一人ひとりのお口の状態と生活習慣をもとに、再び同じ問題が起きにくい環境をつくるサポートをしています。
「少し気になるな」という段階でも、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
お口の健康を守ることが、全身の健康を守ることにつながります。
一緒に取り組んでいきましょう。
